1. 3社間方式の仕組み
3社間ファクタリングは、事業者・ファクタリング会社・売掛先(取引先)の3者で契約する方式です。売掛先にも債権譲渡を通知し、承諾を得た上で、売掛金の支払いを売掛先から直接ファクタリング会社へ行う仕組みになります。
取引の流れ
- 事業者がファクタリング会社に申込
- 売掛先に債権譲渡を通知・承諾を依頼
- 売掛先が承諾 → 3者間で契約締結
- ファクタリング会社が事業者に買取金額を入金
- 支払期日に売掛先がファクタリング会社に直接送金
2社間と大きく違うのは「売掛先が契約に関与する」「売掛金が直接ファクタリング会社に入金される」点です。事業者が集金代行をする必要がないため、持ち逃げリスクがなくなり、その分手数料が安くなります。
2. メリット
圧倒的に低い手数料
3社間の手数料相場は1〜9%で、2社間の5〜20%と比べて大幅に安いです。1,000万円の買取なら、2社間で50〜200万円の手数料が、3社間では10〜90万円に抑えられます。大口・継続利用では数百万円のコスト差が生まれます。
審査通過率が高い
売掛先が承諾するため、ファクタリング会社から見た信頼性が高く審査が通りやすいです。売掛債権の存在も売掛先が直接確認するため、書類偽造リスクがなくなります。
集金作業の手間なし
売掛金が直接ファクタリング会社に入金されるため、事業者は集金代行の手間や送金忘れリスクから解放されます。
貸倒リスク移転
ノンリコース契約なら、売掛先の倒産・未払いリスクを完全にファクタリング会社に移転できます。
3. デメリット
取引先への通知が必要
最大のデメリットは取引先への通知です。ファクタリング利用を取引先に知られるため、「資金繰りに困っている」「経営状態が悪い」と誤解され、取引関係への影響が懸念されます。特に元請けが大手ゼネコン等の場合、ファクタリング利用を嫌う慣習も残っています。
承諾取得に時間がかかる
売掛先の承諾手続きに数日〜1週間程度要し、即日入金は基本的に不可です。スピード重視の資金需要には向きません。
取引先の協力が必須
売掛先が承諾を拒否すれば3社間方式は成立しません。取引先が多忙・経理ルールで対応不可の場合、計画が頓挫します。
対応会社が限定される
2社間中心の業者が多く、3社間に正式対応している会社は限られます。大手・老舗のアクト・ウィル・No.1・SoKuMo等が主な選択肢です。
4. 3社間を選ぶべき場面
3社間が有利なケース
- 大口案件: 1,000万円以上、コスト差が顕在化
- 継続利用: 毎月数百万円規模で、年間コストを抑えたい
- 売掛先が官公庁・大手: 通知しても取引関係に影響が少ない
- 取引先が協力的: 債権譲渡に理解がある業界・関係性
- 時間的余裕あり: 支払期日まで1週間以上の猶予
3社間が不向きなケース
- 取引先に知られたくない
- 即日・翌日入金が必要
- 個人事業主で取引規模が小さい
- 取引先が3社間に非協力的
5. 3社間対応のおすすめ会社
3社間ファクタリングに対応している代表的な会社を紹介します。
- アクト・ウィル: 老舗の対面型。3社間手数料1〜9%で大口実績豊富
- No.1: 3社間1〜5%から。創業以来累計実績10,000件以上
- SoKuMo: 3社間最安クラス、ネット完結も可
- 売掛金PAY(JBL): 法人特化。大口5,000万円まで対応
目的別の比較は99社手数料比較記事もご参照ください。
6. よくある質問
3社間でも取引先の承諾を拒否されることはある?▼
あります。特に経理規定で債権譲渡を認めていない大手企業や、慣習的にファクタリングを嫌う建設業元請けなどでは拒否されるケースがあります。事前確認が推奨されます。
3社間の手数料はなぜ安い?▼
売掛先の承諾を得ているため書類偽造リスクがなく、売掛金が直接ファクタリング会社に入金されるため持ち逃げリスクもないためです。
3社間から2社間に切り替えできる?▼
契約上は可能ですが、同じ売掛債権を2社間に切り替えることは通常しません。別の売掛金で改めて2社間契約を結ぶのが一般的です。
3社間方式の法的特徴は?▼
3社間方式は民法467条に基づき、売掛先(債務者)への通知または承諾により対抗要件を備える方式です。取引先が債権譲渡を承諾した時点で、ファクタリング会社は債務者に対して直接権利行使できます。登記不要で第三者対抗要件が整うため、債権譲渡登記の手間・費用が不要になります。法律上最も明瞭な形式で、古くから運用されている伝統的スキームです。
取引先の承諾が必要な理由は?▼
民法467条により、債権譲渡を取引先に対抗するには通知または承諾が要件だからです。承諾なしでも譲渡自体は有効ですが、取引先が事業者に支払えばそれで債務消滅してしまうため、承諾がないとファクタリング会社は確実に回収できません。承諾書(または通知書)を取引先から取得することで、ファクタリング会社が直接取引先から回収する権利が確定します。
3社間の手数料相場は?▼
3社間方式の手数料相場は売掛金額面の1〜9%です。2社間(5〜20%)と比較して大幅に安く、大口取引なら5%以下も珍しくありません。安い理由は、ファクタリング会社が取引先から直接回収するため貸倒リスクが低く、登記費用も不要だからです。100万円の売掛金なら手数料1〜9万円、手取りは91〜99万円になります。コスト重視なら3社間一択です。
スピードはどのくらいかかる?▼
3社間方式は取引先からの承諾取得に通常3〜7営業日かかります。承諾書の取得・押印・返送プロセスが必要で、取引先の決裁スピードに依存します。内部稟議が必要な大企業相手だと2週間以上かかることも。即日入金を希望する場合は2社間方式を選ぶしかありません。計画的な資金繰りで時間に余裕がある場合のみ3社間が実用的です。
取引先に承諾を得る切り出し方は?▼
「資金繰り」を前面に出さず、「売掛金の管理代行」「早期資金化の手段」等の表現が無難です。ただし近年はファクタリング利用が一般化しており、「経営の成長投資のため」「手元資金を厚くするため」という前向きな説明でも受け入れられるケースが増えています。承諾書の書式はファクタリング会社が用意するので、取引先の経理・財務担当に丁寧に説明し、署名押印してもらう流れです。
承諾を拒否されたらどうする?▼
契約書に債権譲渡禁止特約があれば、2020年民法改正後も譲渡自体は有効ですが、取引先は事業者への支払で債務消滅できるため実質回収が難しくなります。拒否された場合の選択肢は①2社間方式に切替(取引先非通知)②別の売掛先の債権でファクタリング③銀行融資・ビジネスローン等の代替手段、の3つです。関係性次第では取引先の意向を尊重して別手段を選ぶのが賢明です。
3社間でも貸倒リスクはある?▼
ファクタリング会社視点では、取引先が直接支払者になるため貸倒リスクは低いですが、取引先の倒産リスクは残ります。ただし事業者側には原則ノンリコース(償還請求権なし)で契約されるため、取引先が倒産しても事業者に弁済義務は生じません。リスクはファクタリング会社が負担します。契約書で償還請求権の有無を必ず確認してください。
公的機関・自治体相手なら3社間で可能?▼
官公庁・自治体案件は原則「債権譲渡禁止特約」が付されており、3社間方式は困難です。地方自治法・政府契約等に基づき、譲渡には発注者の承諾が必須とされるケースが多いです。ただし承諾を取れれば3社間で利用可能で、手数料も低く抑えられます。公共工事元請業者向けには、承諾取得ノウハウを持つ専門ファクタリング会社(中央ファクター等)に相談するのが近道です。
3社間から2社間への切替はできる?▼
次回以降の契約を2社間に変更することは可能です。ただし既に3社間で進行中の契約は、取引先の承諾を撤回できないため変更不可です。切替理由としては「スピード重視」「取引先への負担軽減」が挙げられます。逆に2社間→3社間への切替はコスト削減目的で多く、継続利用者ほど3社間への切替メリットが大きくなります。複数社を使い分ける運用も一般的です。